アンシラリーとは
アンシラリーとは「補助的な」という意味の英語で、電力のアンシラリーサービスとは、電気の品質を維持するために行う運用サービスのことです。アンシラリーサービスをおろそかにすると、家庭の場合は電灯の点滅が発生したり、工場などの場合は電気を使って作る工業製品の品質にムラがでたりといった問題が発生することになります。
そのため、必ず行うことが必要とされているサービスであるため、日本では東京電力や関西電力などの電力会社が独占的にアンシラリーサービスを行うのが一般的です。しかし、発電と送電を別々の会社が行うなど電力事業分離が進む海外では、アンシラリーサービスを行うことをビジネスにしている事業者が存在します。
アンシラリーサービスに分類されるサービスには、周波数制御や瞬動予備力などがあります。
周波数制御とは、系統周波数を一定範囲内に維持するために電力の需要と供給のバランスを調整することです。日本の系統周波数は、東日本では50Hz、西日本では60Hzですが、それぞれプラスマイナス2Hzの範囲内に維持するように周波数制御が行われています。
瞬動予備力とは、発電トラブルが起きたときに、停電になってしまわないように、瞬時に電気を送る能力およびサービスのことです。
日本では2016年から電力の完全自由化が行われ、独立系発電事業者(IPP)と呼ばれる、発電だけを行う小規模な電力事業者から電力を購入する一般家庭や企業なども増えてくることが考えられます。
独立系発電事業者(IPP)は自前で発電だけ行うため、送電の際は大規模な電力会社が持っている送電線を使うことになります。独立系発電事業者は発電能力が低く、供給も不安定なため、トラブルも起きやすいことが考えられますが、トラブルが起きた際に電気の品質を保証するのは送電線を持つ事業者ということになります。
そのため、電力自由化が近づく昨今、アンシラリーサービスの重要性や課題などがよく議論されるようになっています。