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地方自治体が電力会社設立?民間企業との共同出資で「売上4億円」の新電力も

新電力といえば、ガス会社や携帯電話会社が参入を決めて話題になったよね。でも、実は日本の地方自治体も新電力に次々と参入しているんだ。

ガス会社や携帯電話会社は、確か顧客の囲い込みが狙いだったと思うんだけど、地方自治体が電力会社を持つって、どんなメリットがあるの?

では、地方自治体の新電力参入の事例を見ながら、自治体の狙いを分析してみようか。実は今のところ、全国で14の自治体が電力小売事業に参入しているんだけど、その中でも今回は、千葉県と鳥取県の事例を紹介するよ。

日本初!2つの自治体が「共同出資」千葉県成田市と香取市の新電力

千葉県の成田市と香取市は、民間企業と共同出資して、新電力の地域電力会社設立を検討しているんだ。実は、2つ以上の自治体が共同出資で電力会社を設立するのは、日本では全国初の試みだよ。

成田市と香取市は隣合った自治体よね?両市とも新電力に参入する予定がもともとあったのかしら?

香取市は、2013年度頃から検討していたみたい。北総地域の自治体をメインにして、エネルギーシステムの事業化を検討していたようなんだ。昨年11月には隣接する成田市との協議がまとまっているから、香取市から電力小売事業の提案をしたのかもね。

電力会社の設立を検討しているって言ったけど、2016年4月の電力自由化には間に合うの?

6月には会社設立をして、10月から業務開始するそうだ。ちょっと出遅れちゃうけど、この計画は順調に進んでいくんじゃないかな。

千葉県成田市・香取市の新電力、電源はゴミ焼却炉と太陽光発電

順調に計画が進むってことは、成田市と香取市は、以前紹介した浜松市みたいに、メガソーラーの発電所をいくつも持っていたりするのかしら?

セッちゃん、するどいね。実は成田市は、成田富里いずみ清掃工場の焼却炉で発生する熱を利用した廃熱発電を電源とするみたいなんだ。一方の香取市は、5つの太陽光発電所を所有しているから、新規で発電所を建設する必要はないよ。

すでに発電所があるなら導入コストも掛からなくていいわね。再生可能エネルギーなら、地球環境にもいいし、どんどん活用してほしいって思っちゃう。発電した電気はどこへ供給する予定なの?

成田市と香取市の公共施設を中心に電力を供給していく予定なんだけど、電気料金は安価に提供できるから、電力コストを大きく削減できる予定だよ。

この2つの自治体が新電力を設立することで、公共施設の電気代が安くなって、市政の予算も削減できるってことなのね。電気の地産地消で地域の電力が使えるのも、市民としては安心でしょうね。

成田市と香取市は、年間800万円の純利益を見込んでいる。電力会社設立は、大きな収益源にもなるし、市の財政面を見てもプラスになるだろうね。4月からはプロポーザル方式で民間企業を公募する計画もあるから、今はお互いに1000万円の出資金を折半しているんだけど、民間企業の連携が得られれば、事業自体ももっと規模が大きくなるかもね。

大規模な電力小売事業に取り組む鳥取県米子市の新電力

鳥取県の米子市はね、境港市と民間企業5社と手を組んで、「ローカルエナジー」という新電力小売会社を設立したよ。共同出資に参加した民間企業は、中海テレビ放送、山陰酸素工業、米子瓦斬、皆生温泉観光、三光の5社だ。全部地元の企業だよ。

米子市は、どうやって電気を発電していくつもりなの?

米子市には、24時間操業の可燃ごみ処理施設米子市クリーンセンターを持っているんだけど、ゴミを償却する時に出る熱を活用して、焼却熱発電をするそうだ。発電出力は4,000kWある。発電した電気は、米子市の市庁舎や小中学校、公共施設で消費されるんだって。

ここでもやっぱり、発電した電力エネルギーを地産地消するのね。デューデリジェンス データルーム

実はね、将来的には米子市以外に電気を供給する計画もあるらしい。もちろん、電気料金を安くして供給するそうだよ。一般家庭への電力小売事業は行わないみたいなんだけど…。ちなみに、中国電力の送電線を借りて電力供給を行う予定だよ。

新電力は電気代削減が目的じゃない?地元にお金が循環する仕組み

米子市の場合は、どれくらいの利益を見込んでいるのかしら?

新年度は4億円の売上を見込んでいる。今後は太陽光発電や水力発電の施設からも電気を調達する予定だから、成田市と香取市のケースと比べると、だいぶ規模が大きい電力小売事業だということがわかるね。

4億円はすごいわね。収益はすべて米子市のものになるの?

収益は米子市だけのものじゃなくて、資本金9,000万円を共同出資した5社にも配当されるよ。地元の経済効果にも寄与できる仕組みだよね。

地元企業も利益がもたらされるわけね。公共施設の電力コストも安くなるし、各社イメージアップに繋がるんじゃないかしら。これって地域貢献よね。電力小売事業の収益もメリットだけど、地方創生という意味でも、ローカルエナジーの設立は地域にとっても大きな利益になりそう。

米子市の新電力は卸売市場にも参入!?今後の事業展開にも注目集まる

米子市の新電力設立は、違う方向にも動きを見せているんだ。ローカルエナジーの資本金の半分は中海テレビ放送が出資しているんだけど、この中海テレビ放送は、小売電気事業者に登録されている企業でもある。ただ、中海テレビ放送は、自社では発電施設は持っていないから、ローカルエナジーから電力を調達するらしいんだよ。

じゃあ、ローカルエナジーは出資者でもある中海テレビ放送に電力を卸売りするってこと?

そういうことになるね。さっき、ローカルエナジーは一般家庭には電力を販売しないと言ったけど、この中海テレビ放送は、一般家庭の需要家にも電力を供給する見込みだよ。

ローカルエナジーは直接的にも間接的にも、地元の多くの需要家に電気を供給することになるのね。これって、地方自治体の一大プロジェクトじゃない?

本当にそうだね。将来的には、温水や空調を使用する事業者に熱供給事業を行ったり、省エネ設備改修したりする事業の開始を視野に入れているよ。

地方自治体だから、大した事業はできないものって概念があったけど、かなり将来性のある事業者になりそうね。

そうだね。米子市は、今までも焼却熱発電を新電力のエネットに売電して収益を得ていたんだけど、今後はローカルエナジーに絞ることになる。今回設立した電力会社は規模も大きいし、収益も大幅に増えるんじゃないかな。地方公共団体の新たなビジネスモデルとして、全国からも注目されそうだよね。

地域活性の取り組みとして”新電力”を選択する自治体が増える?

2つの地方自治体の例を見たけど、僕は、成田市や香取市も、民間企業との連携を増やしていくことで、もっと事業が大規模化するんじゃないかと思っているよ。

一般家庭向けの電力小売自由化が4月からスタートしたら、先駆けの自治体をビジネスモデルにして、今は電力小売事業に参入していない地方自治体も新電力を設立するかもしれないわね。

重油や石炭などの燃料を調達するのはコストもかかるし、安定した価格で購入することも難しいけど、すでに使用しているゴミ焼却炉を利用するのなら、他の地方自治体も導入できそうだよね。

どの自治体も今は財政難だし、地方の自治体は人口や税収も減っているでしょう?貴重な収益源になりそうよね。最初は電気を地産地消できて、安心感があるくらいにしか思わなかったけど、メリットは山のようにあるわ。

ゴミ処理場はもちろんのこと、太陽光、水力、風力、バイオマス発電など、すでに発電施設を持っている自治体は多いんだ。地域活性化の足がかりに、新電力市場参入を計画する自治体は増えるだろうね。

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