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業界5位の新電力「日本ロジテック」撤退!薄利な電力小売事業のリスク

僕達はこれまで電力自由化ニュースに着目して来たわけだけど、実は新電力としてシェアも大きかった日本ロジテックという会社が、電力事業から撤退することになったんだよ。

撤退!?電力小売り全面自由化は4月からよ!どうして?早くその経緯が知りたいわ。

「日本ロジテック」が新電力から撤退!原因は資金繰りの苦しさか

今回のニュースはね、2010年から電力小売り事業に参入していた日本ロジテック協同組合が、3月末で電力小売事業から撤退するって話なんだ。

2016年4月から営業を開始する新電力ではなく、これまでも高圧の需要家(顧客)に電力を販売してきた企業なのね。

そうそう。もちろん、このまま一般家庭向けの電力小売事業にも乗り出すかと思われたんだけど、一転して撤退を決めたそうだよ。

原因はなんなの?

電力小売事業撤退は、大手電力会社よりも安い料金で電気を供給していたために、採算が取れなくなったそうだ。

資金繰りが上手く行かなかったのね。

まさに、その通り。日本ロジテックは、東京電力の送電線を使って店舗や住宅に届けていたんだけど、その送電線の使用料を、支払えなくなってしまったんだ。

まぁ、それは大変!そうか…。現状は、どの新電力も東京電力が持っている送電線を使うから、コストがかさむのね。

そうだね。電気の卸取引所から安く一括購入して電気を販売していた。電力共同購買事業って言って、エコサブとも言われるんだけど、みんなで電気を買って、コストを下げようって取り組みだったんだ。従来よりも1〜8%の電気料金が削減すると謳っていたんだけどね、でも実情は、利益を出すのにとても苦労してたみたい。

でも、コストが掛かることは事前にわかっていたことよね?採算が合わなくなる予想はつかなかったのかしら?

そうだね…。では、どうして日本ロジテックが資金繰りに苦労することになったのか、見ていこうか。

売上は3年で7倍も増加。それでも継続が難しい電力小売事業の実態

日本ロジテックが電力小売事業に乗り出したのは、2010年だって言ったでしょ?ちょっと思い出して欲しいんだけど、2010年以降、電気と関わりの深いある出来事があったんだけど、何か思いあたることはないかな?

2010年以降、電気に関わることで何が起こったか?うーんと…、あ、もしかして、2011年の東日本大震災のこと?

そう、その通りだよセッちゃん。東日本大震災が起きて、福島の原子力発電所の事故があったでしょう。それから、相次いで原発の稼働がストップして、2011年は計画停電をした地域も多かったよね。

そうね。そうだったわ。それからその後は、電気代が値上がりしたのよね。

そうなんだ。あの震災以降、東京電力は電気代を引き上げたよね。そこでもちろん、日本ロジテックもその電気代引き上げに苦しんでいたんじゃないかと言われている。

なるほど。送電線の使用料も上がっていたのかしら…。

そうかもしれないね。送電網の使用料だけならまだよかったかもしれないけど、日本ロジテックは発電所を持たない企業だっていうのも原因のひとつに挙げられるよ。

あら、どこかの発電所から電気を買っていたってこと?

その通り。もともと電力小売事業は薄利な事業だから、ちょっとでもコストが上がったりすると、その痛手は大きいものになる。実際、売上高は3年間で7倍にも伸びていたんだけど、採算は取れていなかったみたいなんだ。

売上は伸びていたのに、修復不可能なほど、電力事業って事業を続けるのが大変なの?

そうだね。実はね、送電する電気を買うには、数日ごとに支払いをしなければいけないことになっているんだよ。でも、利用者は普通、1ヶ月に1回だけ電気料金を支払うでしょ?入出金のバランスが悪かったから、資金繰りに苦しんだんだと思うよ。利用者に電気を供給するには、どうしても電気は仕入れなければならないしね。

お客さんからの電気料金を回収する前に、卸電力取引所への支払い日が何度もやってきてたって感じかしら。それは経営が苦しくなるはずよ…。

安価な電気が魅力だった「日本ロジテック」需要家は地方自治体などがメイン

日本ロジテックのニュースがとても衝撃を与えているのは、送電をしてもらっている契約先にも関係がある。

日本ロジテックにはどんな需要家がいるの?

実はね、地方自治体との契約をしているのが大きな特徴で、千葉県、川崎市、防衛省、国民生活センターなんかも、日本ロジテックと契約しているんだよ。

防衛省!?国民生活センター?自治体や公共施設との契約も多いってことは、みんなの税金を使って運営しているところってことよね。

そうなんだよね。もちろん、日本ロジテックが事業撤退しても、電気はそのまま送られる。停電することはないよ。ただ、今まで契約していた施設なんかは、他の電力会社に切り替えれば電気料金が高くなる可能性がある。

あら、そんなことになったら、公共施設の運営元や自治体は大変じゃないの?限りある税金が電気代の増額で減ってしまうんだもの…。

そうだね。どちらにしても、担当者の人は今、電力会社の契約切り替えに必死になっていると思うよ。

停電にはならなくても、結構これって支障があることね。これからは一般家庭も電力自由化になるじゃない?電力会社の経営の状態も見ておかなければ、いずれ同じようなことが、一般家庭でも起こりうるのかしら…。

そうだね。新電力の中、特定規模電気事業者でも5番手にあった日本ロジテックがこうなるとは、誰も思っていなかっただろうからね。

でも、そんな売上のあった企業が資金繰りで苦しんでいるなんて、素人にわかるもの?不安だわ…。

日本ロジテックは、昨年5月、再生エネルギー関連の賦課金も納めることができなかったらしいんだ。それで、経産省が社名を公表していたらしい。電力自由化が始まったら、こういったニュースに目を光らせておくことも重要だね。

ポイント還元、セット割…電力自由化は企業の顧客獲得ツールに過ぎない!

「電力小売事業は薄利だ」なんて話を聞いたりすると、なんだか今名乗りを上げている事業者は大丈夫なのかな?と、思っちゃうんだけど…。

そうだね。確かに、今の電力業界を見てしまうと、薄利だし、それで利益をあげようと思ったらなかなか難しいものがある。大手電力会社から電力を仕入れなきゃいけない企業も多いしね。

でも、200くらいの企業が新電力として申請をしているんでしょ?今も、数十の新電力がプランを発表しているし、契約しても日本ロジテックのようになったりしたら困るわ…。

確かにそうなったら困るんだけど、ただね、セッちゃん。今の新電力事業者は、電気料金で儲けることが目的じゃない事業者が多いんだ。

確かに現状は、多くの企業が「顧客の囲い込み作戦」の1つとして、電力自由化を利用しているなって、これまで色んな新電力を見ていて感じているわ。ENEOSでんきやauでんきなんかも、2年の契約で、いわゆる「縛り」という顧客獲得のプランを用意しているでしょう?

その通りなんだ。電気料金は安くないけど、ソフトバンクもTポイントでポイント還元してくれるとか、ENEOSでんきも、ガソリンが安くなるとか、電力が安くなるんじゃなくて、自社の事業の中で、何かがお得になるプランを用意しているよね。

安い電気料金で稼いだり、儲けたりするのはここまで話を聞いたら難しそうだものね。電気で稼ぐよりも、自社の事業の顧客を増やして売上を上げたほうが、よっぽどメリットがあるってことね。

そういうことなんだよね。

電力小売だけの事業展開は難しい?利益を生み出すカギはどこにあるのか

中には電力一本で勝負している企業もあるわよね?

そうだね。日本ロジテックみたいに、電力一本で勝負する企業がないわけじゃない。でも、今、「電力自由化」で積極的に名を挙げている電力小売事業者の多くは、セット割などの顧客獲得目的で動いている企業が多いんだ。電力一本で電気を供給しようとしている企業は、高圧市場などでの供給実績が豊富だったり、自社で発電しているところが多い印象だね。

なるほどね…。自社で発電すれば、仕入れのコストは安くなるものね。それなら低価格の電気料金プランでも市場で生き残れるのかも。

電気って、どこの電力会社で購入しても質が変わるわけじゃないからね。だから、みんな価格の安いところに注目してしまうっていうのが、低価格競争を助長する原因でもあるんだけど…。

ポイント還元とかの特典があっても、それほど大きなお得になるわけじゃないものね。利用者は電気料金の安い電力会社と契約するのを一番に望んでいるわ。

そうだね。企業はどうしても価格競争に乗らないといけないから、低価格競争に打ち勝てるだけのコスト削減策がないと、電力小売事業は続かない。一般家庭向けの電力自由化が始まるけど、今後も電力事業から撤退する事業者は増えるかもしれないよ。

2年縛りなんかの電気料金プランを出している企業も多いけど、実際、2年間も電力小売事業が続くのか、ちょっと疑問に思っちゃったわ。

うーん。今のところ採算は取れる計算だから参入しているとは思うけど、こればっかりは電力自由化が始まってみないとわからないね。どちらにしても、電力小売事業って、利益を上げるのがとても大変な事業であることに変わりない。

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