常時バックアップとは
常時バックアップとは、電力事業に新規参入した事業体である新電力が、一般電気事業者から電力を購入することで電力を調達し、それを一般の利用者に送電することを言います。
自然エネルギーを活用している場合が多く、電気料金も安いことから、新電力の需要が高まっていますが、一般電気事業者に比べると発電量が少ないため、安定して大量の電力を供給するのは難しいという現状です。
そこで、発電量が安定している一般事業者から新電力が電気購入することで、電気供給量を増やせるのが、常時バックアップのメリットです。
現行の電気事業法において、常時バックアップは法的には担保されていません。しかし、経済産業省と公正取引委員会が共同で作成した「適正な電力取引についての指針」には、常時バックアップを保証するような様々な内容が書かれています。
その指針によると、一般電気事業者が新電力に対して常時バックアップを行うことを拒否したり、適切な理由なく供給電力量を制限したり、電気の卸売価格を不当に高く設定したりすると、電気事業法上で問題になってくる可能性があるという内容が定義されています。
新電力が新しく電力事業に参入する場合、いきなり多くの安定した電力を供給するのは難しく、その参入障壁を下げるために常時バックアップが活用されています。現在事業を行っている新電力の半数近くが常時バックアップを活用していると言われています。
ただし、新電力があまりに長い期間、常時バックアップに頼っているのはよくないという指摘もあり、今後は新電力の電力調達手法は、卸電力取引所に移行していく可能性が高いです。卸電力取引所とは、電力の卸売り価格を設定する電力の市場のことです。
また、常時バックアップは新電力の参入しやすさを助けますが、その分、あまり効率的でない事業者の参入を許すことにもつながるため、結果として電気料金の低コスト化につながらないという指摘もあります。