
東電が電力小売事業会社名を発表「東京電力エナジーパートナー」
電力自由化を前に、東京電力が子会社の名前を決めたってニュースが出ていたわ。子会社が電力小売事業をやるってことになっていたけど、自社では電力小売をやらないの?
「東京電力エナジーパートナー」のことだね。ちょうどニュースでやっていたね。東京電力は2016年4月1日に「持ち株会社制」に移行することになっているんだ。
まさに電力小売の全面自由化のタイミングね。私「持ち株会社制」ってよくわからないけど、会社を細かく分けるのよね。何かいいことがあるの?
「東京電力グループ全体の企業価値向上」
※東京電力ホームページより
東京電力の新しい体制は、持ち株会社の「東京電力ホールディングス」の下に3つの子会社がぶら下がる形になるんだ。
・東京電力フュエル&パワー株式会社:燃料・火力発電事業を担う
・東京電力パワーグリッド株式会社:一般送配電事業を担う
・東京電力エナジーパートナー株式会社:小売電気事業を担う
「各事業部門がそれぞれの特性に応じた最適な事業戦略を適用し、東京電力グループ全体の企業価値向上に取り組む」とリリースでは書かれているね。
これまでも東京電力の社内にあった部門が分社化されただけってことよね?そんなに大きな差があるのかしら?
東京電力だけの話じゃないのだけど、「持ち株会社制」や事業部門の分社化・子会社化には会社によって様々な目的があるよね。今回東京電力が言っているのは「意思決定のスピードを高めて企業価値向上に務める」というものだね。
分社化すると意思決定のスピードは早くなるの?
※東京電力ホームページより
その事業部門の部長が大事なことを決定しても、結局はその上司である役員や社長の決裁が必要だったりするよね。重要事項であればあるほど、事業部門内で全部決めることはできないことが多いね。
逆に言うと、全部の部門の重要事項がすべてトップに上がってくるわけだから、判断しないといけないことがものすごく多くなっちゃうのね。大きい会社ほど意思決定には時間がかかりそうだものね。
たとえばベンチャー企業ならその日のうちに取りかかれることでも、大きな企業だと決定するまでに3ヶ月〜半年かかっちゃったりするね。半年も経ったらもうチャンス逃しちゃうし、タイムリーにお客さんにサービスを提供することが難しくなるんじゃないかな。
そうか、これから電力小売の自由化でPPSが一般家庭の電気販売を頑張ってくるから、ひとつひとつの意思決定に時間をかけすぎてるとスピードで負けちゃうわね。
そうだね。事業部ごとに会社を切り離せば、事業部門の部長がその子会社の社長になるから、現場に近いところでどんどん意思決定していくことができるよね。もちろん東京電力エナジーパートナーだけでも2,800人もいる会社だから、それでも十分大きな会社なんだけどね。
発送電分離を4年前倒しで実施
東京海上は持ち株会社制への移行をずいぶん前から決めていたんだけど、大きなポイントになったのはやはり発送電の分離だね。
発送電分離って、発電部門と送電部門を切り離すというアレね。新しい電力会社(PPS)にも平等な条件で電線を使わせて、ちゃんと電気料金の自由競争をさせるためよね。
そうだね。PPSがみんな電線を引いてたらたいへんなことになっちゃう。既存の送配電網を平等に使えるようにしましょう、そのために東京電力などの一般電気事業者は送配電部門を切り離して別会社にしてくださいねということだね。
そうか、さっきの「東京電力パワーグリッド株式会社」が一般送配電事業を担うって言ってたわね。
改正電気事業法では2020年4月までに分離するように決められたんだけど、東京電力はもうこのタイミングで発送電分離の体制を整えてしまうということだね。なんとこの「東京電力パワーグリッド株式会社」だけでも従業員数は20,000人になるみたいだよ。
小売事業の8倍近い従業員数じゃない!?そんなにたいへんな仕事なのね・・・
電力会社の経営の中でも、送配電事業はかなり手堅く利益を稼げる事業として安定性抜群なんだ。燃料の価格は上下するし小売はこれから自由化されでどうなっちゃうかわからない。でも送配電事業は託送料金を手堅くしっかり取れるからね。
そのぶんたくさん従業員を抱えて電力の安定供給をがんばってくれているのね。