
関東圏に進出する電力会社と比較して、東京電力が電力自由化で苦しい7つのワケ
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・2016/1/10更新:【謎プラン】東京電力・自由化新メニューは損?徹底分析(1)
・2016/1/2更新:東京ガスの電気ガスセット割「ずっともプラン」を東京電力電気料金と比較
・2015/8/19更新:東電が電力小売事業会社名を発表「東京電力エナジーパートナー」
電力小売が全面自由化される2016年4月以降、既存の一般電気事業者と新電力会社(PPS)がヨーイドンで一般家庭のお客さんを取り合うことになるのよね?たとえば関西電力が東京のお客さんを獲得したり、東京電力が九州のお客さんを獲得したりすることもあるのかしら?
これは間違いなく起こると言われているね。10社の一般電気事業者が「地域独占」といって、「関東は東京電力ね」「関西は関西電力ね」と地域ごとに独占企業が決められていたのだけど、これが撤廃されるんだ。
うかうかしていると自分のお客さんを取られてしまうかもしれないのね!
そう。かといって防戦一方でもいけないから、電力の販売網をどんどん広げていこうという動きはすでに各社取っているよ。東北電力は東京ガスと業務提携して、カテエネプランで有名な中部電力はINPEXと業務提携して、関東圏への進出準備を整えている。関西電力はKDDIとの業務提携を模索してるし、他にも似たような参入・提携の話はどんどん出てくるはずだよ。
東京電力の事業提携戦略は迷走中?
やっぱり最大手の東京電力の動きに注目かしらね?ソフトバンクと提携したのも、関東圏以外からお客さんを獲得するためよね。他にもいろんな提携をしているって聞いたけど、なんだか多すぎて覚えられないのよね・・・どこがどこと提携したとか。
東京電力は携帯通信3キャリアすべてと業務提携模索中?
セっちゃんが覚えられないのもムリはないよ。というのも、東京電力の業務提携がけっこう「手当たり次第」になってるって言われているんだ。通信会社でいえば、ソフトバンク以外にもNTTドコモやKDDIとの提携も模索していると言われている。
え?ダメじゃないソフトバンクと提携の話をしているのに。
参考:東京電力とのアライアンスに関する検討の開始について(ソフトバンクモバイル株式会社)
関東地方=東京電力管内で鉄壁のディフェンスをするための布陣を模索しているというところだと思う。。関東圏以外はソフトバンクのみになるんじゃないかって言われているけど。まあこれもまだ模索中っていう段階だよ。
なるほどね。携帯電話料金とのセット割引とかはじまるのよね。うちはみんなdocomoだからdocomo料金とのセット割で電気料金が安くなるなら嬉しいわ!
東京電力と大手ガス会社との提携は「オール電化」と両立できるの?
他にも、LPガスや都市ガスの販売を行っているニチガスとも交渉中という話だね。ニチガスは100万以上の顧客を持っているガス会社だから、ここと提携することができたら大きい。ここではガスと電気料金のセット販売がはじまるのかもしれない。
そうなのね。東京電力ってオール電化の宣伝やってるからガス会社と仲良くできないのかと思ってたわ!
ガス会社の人としてはどうなんだろうね(汗)それでも電気とガスの両方を使っているユーザーの方がまだ圧倒的に多いけど、確かに提携するガス会社としては「オール電化やめてくださいよ」って気持ちになるかもしれないね。つらいところだ。
東京電力の「電気料金支払いで貯まる」ポイント戦略は?
そういえば、ポイントサービスってどうなるのかしら?電気料金の支払いで楽天ポイントが貯まるとかTポイントが貯まるとか、そういうのも始まるんでしょう?今うちは旦那のクレジットカードで電気代を支払ってるからクレジットカードにポイントがついてるけど、さらに電力会社によってポイントが追加で付与されるとかになると嬉しいわ!
このポイント戦略ひとつとっても、東京電力はローソンとかで使われるponta(ポンタ)のロイヤリティマーケティングっていう会社と提携したと思ったら、Tポイントのカルチュア・コンビニエンス・クラブとも業務提携ってニュースが流れていたね。
あ、もう決まっているのね!主婦にとっては嬉しいことだけど、2つもやるのね。
ポイントの会社としてはユーザーが増えることで大きなメリットがあるものの、東京電力の全顧客が自分のお客さんになるわけじゃなく、そこにもライバルがいるという状態になるのかもしれないね。
電力小売の自由化では東京電力が不利!と言えそうな7つの事情
東京電力は危機感が強いんだと思う。確かに冷静に分析してみるとかなり不利な事情が多そうなんだよね。
(1)消費者と直接触れ合う営業拠点を持っていない
(2)自由競争にさらされてきていないので、総合商社や通信会社などと比べ収益力に欠ける
(3)すでに自由化されている高圧では新電力に押されてシェアを落としてしまっている
(4)福島第一原発事故の処理がまだ終わっておらず、賠償責任額が今後も膨らむ可能性がある
(5)東日本大震災以来、電気料金が高騰している上、ダウンしたイメージを回復できていない
(6)同じく関東を商圏とする東京ガスはガスを販売できるが、東京電力はガス小売が自由化される2017年までガスの小売はできない
(7)関東の一般家庭(低圧)はもっとも大きく魅力的な市場で、激しい電力会社乗り換えにさらされる可能性が高い
東京電力は利益の9割を一般家庭の電気料金から取っているんでしょう?そんなおいしい市場、新電力会社(PPS)も他の一般電気事業者も黙っていないでしょうね。
「草刈り場」になるんじゃないかと言われている。ただ、東京電力にももちろん強みはあるよ。
月間○億kWhものの電源の確保し、関東圏の圧倒的電力需要に耐えられる!
何しろ巨大な市場だから、関東圏の一般家庭の電力需要を賄えるほどの電源の確保ができる会社はそうそうないんだ。
ど、どれぐらいの電力を東京電力は作って販売しているのかしら?
もちろん季節や天候なんかにも寄ってくるんだけど、1ヶ月に170〜200億kWhぐらいかな。うち業務用:一般家庭用=2:1と考えるといい。
うーんと・・・
ごめんごめん、そんなこと言われても販売電力量がどれだけ大きいかわからないよね。中部電力のおよそ2倍、九州電力の3倍以上ということになる。東京電力が販売している電気の量は、国内で消費されている電力量の1/3を占めるね。
さ、さすがにものすごい規模ね・・・!自社の既存のお客さんへの電力を供給し続けたまま、東京電力管内に殴り込みをかけて電力販売をして、さらに供給を安定させるって、結構大変そうね?
今のところ、自社ですべての電力を賄える、それこそ東京電力以上の発電能力・燃料調達能力のある新電力会社がいくつも出てくるとはとても思えないね。だからこそ、電力会社は発電所の開発を急いでいる他、IPPとの連携を深めようと動いているんだろうね。
IPPって、発電だけやってる会社だっけ?
そうだね、IPPは電力の卸供給を行う発電事業者で、小売は自分でやらない。電力会社が電力の調達のため、自社の発電所だけじゃなくIPPから電気を仕入れて売るという形が加速していく。
あ・・・とにかく安く電力を提供できないとお客さんの流出を防げないし、新しいお客さんも取れない・・・だから原発の再稼動も今けっこう急いでいるのかしら?
それはあると思う。さすがに新電力会社がいきなり原発どーんと建てるということはできないだろうから、現時点で原発を持っている一般電気事業者にとって、原発は本来またとない武器なんだよね。電力需要にもしっかり答えられる供給力を持てるはずだし。
でもそのせいで再稼動してまた事故のリスクが上がるとなると本末転倒ねえ・・・。私は再生可能エネルギーを重視して発電しようとしている会社を支持したいわ。
そういう人もたくさん出てくるだろうから、自社の電力源が何なのかというところもきれいに打ち出して、イメージアップ戦略を出してくる会社も多くなるだろうね。
※参考記事(あわせてお読みください)
・2016/1/2更新:東京ガスの電気ガスセット割「ずっともプラン」を東京電力電気料金と比較
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