
【謎プラン】東京電力・自由化新メニューは損?徹底分析(1)
1月7日に東京電力が新電気料金プランを発表したね。もともと料金プランの多い東電だけに、発表された新メニューも一気に7つあった。
東京電力新料金プラン | ヒトコト解説 |
スタンダードS | 一般的な家庭向け、時間帯による電力使用量の差がない場合 (従量電灯B、Cに相当) |
スタンダードL | |
スタンダードX | |
夜トク8 | 日中は家にいない、一人暮らしや共働き家庭向け。夜安い。 |
夜トク12 | |
プレミアムプラン | 電気をたくさん使う家庭向け。400kWhまでの電力量料金が定額。 |
スマートライフプラン | オール電化の家庭向け。深夜1時〜6時の電力量料金が安い。 |
まず、従量電灯B・従量電灯Cに当たるのが、「スタンダードS」「スタンダードL」「スタンダードX」の3つね。
そう。従量電灯プランというのは東京電力の一般家庭向けの料金プランだね。他にも、夜の電気料金が安い「夜トク8」「夜トク12」とか、あとは電気使用量が多い人向けの「プレミアムプラン」や、オール電化家庭向けの「スマートライフプラン」があるね。
数が多いと、自分はどの電気料金プランを選択すればいいのかわかんなくなっちゃいそう。整理して解説してよ。
たぶん多くの人はまだ気づいてないけど、安易に東京電力の新料金プランを適用しようとすると、一見、ほとんど電気料金は変わらないか、むしろ損する人も出そうなんだ。
そうなの?電力自由化で東京ガスとかJ:COM(ジェイコム)とか新電力が、5〜10%安くなる電気料金プラン出してるのに、東京電力がそれじゃお客さん取られちゃうんじゃない?
電力メニューシミュレーション:新料金プランは高い?
まずは東京電力新料金メニューを詳しく見てみようか。スタンダードS/Lについてだけど、元となる従量電灯B/Cと基本料金設定については変わらない。
契約アンペア数 | 料金(税込) | |
基本料金 | 10A | 280.80円 |
15A | 421.20円 | |
20A | 561.60円 | |
30A | 842.40円 | |
40A | 1,123.20円 | |
50A | 1,404.00円 | |
60A | 1,684.80円 |
問題は電力量料金だね。これは1kWh使うごとにかかってくる電気料金で、使えば使うほど高くなる部分だけど・・・
電力量料金 | 従量電灯B | スタンダードS |
120kWhまで | 19.43円 | 23.40円 |
120kWhを超え300kWhまで | 25.91円 | |
300kWhを超えたもの | 29.93円 | 30.02円 |
あ、スタンダードSは電力量料金が2段階になったのね。当たり前だけど、120kWhまでしか使わないなら従来の東電の従量電灯Bの方が得することになるわね。
電力を120kWhしか使わない場合は、
・従量電灯B:120kWh×19.43円=2,331.6円
・スタンダードプランS:120kWh×23.40円=2,808円
となって500円ほど電気代が安くなることにはなるね。
300kWhまで使うと・・・
・従量電灯B:120kWh×19.43円+180kWh×25.91円=6,995.4円
・スタンダードプランS:300kWh×23.40円=7,020円
あれっ結局新料金プランの方が高い!?
結局、スタンダードプランの方が300kWh以上の電力量料金が高いので、この後いくら使っても逆転することはないんだよね。一見、新電気料金プランの方が損するように見えるけど、もちろんこれには理由があるんだ。実際にはちゃんと得するメニューになっているよ。
※東京電力によると、従量電灯B・Cなどこれまでの旧電気料金プランは一部継続して提供していくようです。
使用電力量 | 従量電灯B(旧プラン) | スタンダードS(新プラン) |
100kWh | 1,943円 | 2,340円 |
200kWh | 4,404.4円 | 4,680円 |
300kWh | 6,995.4円 | 7,020円 |
400kWh | 9,988.4円 | 10,022円 |
500kWh | 12,981.4円 | 13,024円 |
理由1:新電気料金メニューはポイント還元でお得
東京電力は何を考えているのかしら?ただでさえ東京ガスの電気料金プラン(ずっとも電気1)は従量電灯Bより5%ぐらい安いし、他の新電力も5〜10%ぐらい安い電気代を出しているわよね。
参考記事:
・東電より3〜6%も電気代節約!?東燃ゼネラル石油「myでんき」
・J:COM電力(ジェイコム電力)は最大10%の電気料金割引も!
・年間9,400円お得?東急パワーサプライ電力初売り開始
・【大阪ガスの電気】使えば使うほどお得?電力自由化は「セット販売」で電気代が安くなる!
・東京ガスは「ガスと電気のセット割」「トリプル割」で勝負!
・電気×旅行?HISの電力販売は最低5%の値引保障!
まず1つはポイント還元だね。1,000円=5ポイント=5円相当で、電気代を払うごとに付与されるポイントがあるんだ。
ポイントかぁ・・・。クレジットカードなら100円=1ポイント=1円相当だから、それと比べるとあまり得な感じはしないわ。私の家庭はだいたい年間の電気代が20万円ぐらいだから1年で1,000ポイントということになるわね。何に使えるポイントなの?
今のところ、このポイントは「Tポイント」もしくは「Ponta」に移行して使うことができるみたいだ。業務提携していたよね。
※参考記事:東京電力包囲網?東電が電力自由化で苦しい7つのワケ
また、2016年中の実現は難しいみたいだけど、東京電力は2017年以降は電気料金の支払いがこのポイントでできるようにすると発表している。
※東京電力「毎月貯まるポイント」は、消費税等相当額、再生可能エネルギー発電促進賦課金、延滞利息等を除いた金額に付与されます。
そういえばweb申込みで500ポイント付与されるって話よね。こう言うキャンペーンみたいなのがたまに入ることになるのかしらね。もちろん、これまで電気料金を払ってもポイントなんかつかなかったから、新しくポイント付与されるだけでも嬉しいわ、主婦としては。
ポイントは実質的には電気料金の値引きに近い側面があるね。電気料金がここで0.5%の割引になっていると考えることもできる。とはいえまだ高いよね。
理由2:新電気料金メニューはニチガスとのセット割でお得
Tポイントやpontaで思い出したけど、確か東京電力はいろんな事業者と業務提携していたわよね。提携先のサービスとのセット割販売みたいなこともやるんじゃないの?
正解!まずはニチガスとのガスセット割プランに申し込んだ場合のお話。例として、契約アンペア数40Aで月間電力量が400kWhの家庭なら、電気料金は月々10,000円でほぼ変わらないけど・・・ポイントで年間500ポイント、さらにガス代の割引が6,000円あり、トータルで6,500円がお得になるとされている。
※ニチガスとのセットプランによる割引とポイントは同時に適用されないケースもあります。
年間6,500円安くなるという見せ方は、新電力の他の会社が4,000円〜5,000円と言っているのと比較するとだいぶいい線いってそうね。
ガス会社の業務提携先はかなり多かった。一覧を見てみると、ニチガスの他にも、東日本ガス、カナジュウコーポレーション、レモンガス、東日本ガスなんかが並んでいる。
オール電化の家庭はまだまだ少ないから、ガスと電気のセット販売をしてくれると助かる家庭は多いんでしょうね。電力自由化で東京電力のライバルの筆頭である東京ガスは、通信(インターネット)とガスのトリプルセット割も出してきているし。
あれ?でも、東京ガスや大阪ガスは、ガスも電気も自社で販売するのよね?東京電力はどちらも自社で販売しないの?他社との提携よりも、自社で電気もガスも小売した方がもっと安くできるんじゃないのかしら?
東京電力の事業提携先一覧(抜粋)
ガス会社 | ポイントサービス | 家電 | 音楽配信 | インターネット・通信 | その他 |
新日本ガス、ニチガス、東日本ガス、カナジュウコーポレーション、レモンガス、東日本ガス、新日本ガスなど | Tポイント、ponta、リクルート | ビックカメラ | USEN | ソフトバンク、So-net | TOKAIケーブルネットワークなど |
東京電力としても、本来であればガスも自社で販売したいところだと思うよ。ただ、ガス小売はまだ自由化されていないんだ。ガスはガス会社しか販売できず、2017年4月のガス小売自由化までは「ガスと電気のセット販売」を自社完結でできるのはガス会社だけなんだよ。