高圧配電とは
高圧配電とは、50kVAの契約を超えるような一般家庭や電力密度の小さい住宅地にある家庭に配電を行うときに使われる配電手法のことです。発電所で発電された電気は、変電所で電圧を落として各家庭や施設に送られることになりますが、その変圧の際にある程度高い電圧を維持するのが高圧配電になります。
高圧配電を行うための線路としては、一般的に三相3線式非接地方式と呼ばれる電気系統が使用されています。三相3線式非接地方式とは、位相を3つにずらした交流である三相交流を3つの電線やケーブルを使って配電する方法のことです。
配電網の構造としては、主に樹枝状方式(または放射状方式)と本予備線方式(または環状方式)の2つの構造が知られています。
- 樹枝状方式
- 本予備線方式
樹枝状方式とは、配電所から樹枝状に配電線を伸ばした配電方式です。新しい需要に対して簡単に配電線を追加して対応しやすく、保安装置などの必要設備を単純かつ安価に設置できるといったメリットがあり、一般に広く用いられている配電方式にはなりますが、幹線の事故が起こった場合には広範囲で停電になるというデメリットも存在します。
本予備線方式とは、2本の電線を用意しておき、1本を通常の配電に使う配線とし、もう1本を予備の配線として残しておく配電方式になります。メリットとしては、点検の際、予備の配線を使って配電ができるために、利用者を停電させないで済むということが挙げられます。電圧需要の密度が低くても、安定して電力の供給が必要な家庭や施設への配電に使われます。
また、高圧配電には、オフィスビルや工場、ホテルなどといった大量の電力を消費する大規模な施設に配電を行う特別高圧配電という手法もあります。三相3線式と比べて配電系統における電力損失が少ない、20kV/30kV級三相3線式と呼ばれる方式で配電されています。
特別高圧配電の場合、樹枝状方式や本予備選方式に加えて、スポットネットワーク方式やレギュラーネットワーク方式と呼ばれる配電網の構造も存在します。